秋日和

雷鳴の湾の秋日和のレビュー・感想・評価

雷鳴の湾(1953年製作の映画)
4.0
ジョン・フォードと言えば「投げること」、と同じくらいアンソニー・マンの「仰角ショット」は有名だと思うのだけど、本作では高低差を活かしたショットも斜面も殆どと言って良いほどお目にかかることがない。一方、ある人物とある人物が「平面上」でやり取りをしているシーンは幾つも存在する。勿論、どんな映画でも「平面上」でのやり取りは数多く観ることが出来るし、そういった意味では至って普通の演出なのだけれどこの映画は「平面上」であるということに拘っている気がした。例えば、二人の男が飲み代を賭けて相撲(?)のようなものをするし、ジェームズ・スチュワートとジョーン・ドルーが喧嘩をしたり和解をするときも画面に高低差を付けずにいたからだ。気にし過ぎと言えば気にし過ぎなのだけど、やっぱりアンソニー・マンなので見上げる/見下ろすがないのはどうしてかな?とつい考えてしまう。と、思っていたら……!!飛びっきり最高でノー天気な「見上げる」演出が施されているではないか。やっぱりアメリカ映画は最高だ。ノワールや西部劇でいつもしょうもないチンピラを演じていたダン・デュリエが幸せそうなのも何だか良かった。アンソニー・マン万歳!
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