ねーね

シック・オブ・マイセルフのねーねのレビュー・感想・評価

シック・オブ・マイセルフ(2022年製作の映画)
3.1
日本だろうが北欧だろうが、承認欲求垂れ流し系の女子っていうのはどこにでもいるもんなんだな…
現代の醜い心の病を具現化した、ノルウェー産シニカルホラー。

駆け出しのアーティストとして注目されている彼氏のトーマスに比べ、なにも持たないカフェ店員である自分の存在価値のなさにフラストレーションを感じはじめるシグネ。
脚光を浴びる彼に嫉妬心を駆り立てられ、どうにか自分という人間をみんなに見てほしいという強すぎる思いが、彼女を狂行に走らせる。
自分の身体そのものを犠牲にしてまで目立とうとするシグネの行動は、あまりに恐ろしく歪んでいる。
最後まで彼女の行動が理解できなくて、観ているこちらもフラストレーションが溜まるばかりだった。

なんでもかんでもSNS映えの時代、多少目立ちたい気持ちが生まれるその感情は理解できる。
出来事をすこし盛って話してしまったり、うまくいっている友人にやきもちやいたり。
誰にでも大なり小なりある感情だと思うが、ここまで行き果てるともう病気でしかないなと思う。
いわゆるミュンヒハウゼン症候群なんだろうけど、彼女の背景が「父親になんかされた」くらいしかわからないので、そのあたりの掘り下げはもう少しほしかったかな。

それにしてもシグネもそうだが、周りの人間もまあまあ性格が悪いので、救いがとにかくない。
モデル事務所の人間にしろ、視覚障害者を小間使いに雇ってる時点で全然弱者に優しくないし、大手ブランドも結局ポリコレ意識で広告作ってるだけだという皮肉。
シグネが想像よりひどかったときの空気の気まずさといったら、私も耐えられないレベルだった。
彼氏のトーマスも序盤から盗みばかりしていて普通に犯罪者だし、頭がおかしい同士カップルになったという意味では釣り合っていた感じもある。
いつもお互い蹴落としあってて付き合っている意味がわからないし、シグネの友人もそりゃ呆れるよな。
世の中には理解できない思考回路の人間がたくさんいるんだろうと思わされる。

あまりにもヤバ映画すぎて良いコメントが書けないけど、ファッションやインテリア、ポップな映像はすごく北欧らしくて魅力的だった。
シグネも黙ってれば美人なのに、承認欲求ってほんと怖いな。
ねーね

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