コーディー

シック・オブ・マイセルフのコーディーのレビュー・感想・評価

シック・オブ・マイセルフ(2022年製作の映画)
4.0
芸術家として注目を浴び始める彼氏の傍で、何もない自分にウンザリなシグネが嘘と薬で塗りたくったドロドロの自意識を覚醒させる…
たとえ同情でも構われたいという病的な欲求に身も心も蝕まれてく様子が哀れやけど、最高か最悪かの判断力を失い妄信してしまう恐ろしさはなかなかに刺激的!

どこまで行けば目が覚めるのかと思いながら、どこまでも行く様子に刺激を受ける悪趣味。
理解は出来ないけど、ある意味自分もシグネの底知れない欲求に魅せられてたしw精神的苦痛に比べれば肉体的苦痛なんて…と自らを犠牲にしてまで何を手にするのか、その切実さと滑稽さに途中から不快感が薄れていった。

あと彼氏のトーマスも結構ネジぶっ飛んでたし、ジタバタと虚飾を纏うシグネを泳がせてる感じもあったりで、これまた意地が悪いw
まあそんな二人なのでシリアスな雰囲気はあんまり無かったけど、目の前にいる人間も思い遣れない程の自己陶酔、その最悪なケースを通しての警告がグロテスクだけど、皮肉混じりのブラックユーモアとして面白かったです。