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異教徒の旗印の一人旅のレビュー・感想・評価

異教徒の旗印(1954年製作の映画)
3.0
TSUTAYA発掘良品よりレンタル。
ダグラス・サーク監督作。

1950年代を中心に上質なメロドラマを量産したドイツ出身のダグラス・サーク監督による歴史物で、西暦5世紀におけるローマ帝国とフン族の衝突を描きます。

ローマ帝国が東西に分裂している西暦5世紀を舞台に、西ローマへの侵略を図るアッティラ王率いるフン族の軍勢に対して、ローマの百人隊長から将軍に成り上がったマーシアン率いるローマ軍が立ち向かっていく様子を描いた歴史映画で、史実とフィクションが融合しています。

ローマ侵略の野望を燃やすアッティラ王とそれを阻止すべくローマ軍を率いることとなったマーシアン将軍の駆け引きと攻防の行方を、マーシアンと東ローマ皇帝の妹であるプルケリア姫の恋や、マーシアンに秘かに想いを寄せるアッティラ王の娘:クブラの葛藤と決断、そしてローマ・カトリックに対する異教徒アッティラの畏怖の念を絡めて描いています。

ダグラス・サークらしい男女の恋愛ドラマを織り交ぜつつ、分裂により弱体化したローマ帝国を巡るマーシアンvsアッティラの戦いを活写した歴史スペクタクル映画であり、フン族最大の武器である機動力の高い騎馬軍団も再現されています。

また、ジャック・パランスが顔面を黒塗りにした上で無慈悲なアッティラ王を力強く演じていますが、占星術師による占いによりキリスト教(=神)への恐れを明白に増幅させていく姿が、軍勢を統率する覇気に満ちた当初の様相とは鮮明な対比を成しています。
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