火・水・土・風の属性を持つエレメント達が暮らす街。癇癪持ちの火の移民一家の娘で、両親が開いた店ファイアプレイスを受け継ぐことを夢見るエンバー。店番の日に起こした短気で水道管を破裂させた際に涙もろい水の青年ウェイドと出逢った彼女が、店の営業停止を阻止しようとする中でウェイドと心を通わす様を描いたアニメ映画です。
ピクサー・アニメーションが2023年の一作として韓国系移民の子でピクサー入社以来様々な作品に携わったピーター・ソーンに『アーロと少年』以来の監督を託して制作した作品で、事前の批評家からの評価が賛否両論だったこともあってオープニング興行は芳しくありませんでしたが口コミで好評を集めて徐々に観客を取り戻していきました。
四大元素で多様性を説くピクサーらしいココデハナイドコカのお話ですが、元素の具現化や対立軸の設定に浅さがあったりとアニメ表現としてらしからぬところはあります。それでもウエストサイド物語の系譜に連なる人種の坩堝における人種間恋愛を描く物語はとてもロマンティックで、水を差しても消えない燃えるキスにときめく一作です。