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ソフト/クワイエットのesのネタバレレビュー・内容・結末

ソフト/クワイエット(2022年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

キャラクターの作り込みなど細かい部分まで練っていて、大きな思想、様々な人間を内包する国、対立構造が生まれやすい地域、極端な思考が集った小グループ、それぞれ個人が持つ背景や思考、といったスケールの違う問題が複雑に絡み合う中で生まれる単純化された憎悪の描き方が上手かった。

ただ、この作品は現実と距離が近過ぎて、フィクションとして鑑賞するにはどの層の人間が観ても苦行な作り。
社会派作品として観るには自らを輪の外側に置かなければならず、内側に属する自分と外側から構造を見る自分を両立できる人間にしか真の意味では届かない気がする。

被差別側の属性を持つ監督が脚本作りに辛くなって早く終わらせようとしたというのが伝わってきそうな後半部分だが、この作品自体を取り囲む環境や観賞後の評価の分析(各評価帯における採点者の属性分布など)を行う事によって映画作品という枠を越えた価値を持つ可能性がある。

好きか嫌いか、という自分の趣味嗜好の尺度で採点するなら後者に傾くけれど、その尺度のみで評価する事を拒む作品なのでスコアはつけ難い。
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