イベリー子豚

ゴジラ-1.0のイベリー子豚のレビュー・感想・評価

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)
3.7
「『永遠のALWAYS三丁目のゼロの大戦』」






「特撮」にこだわった「昭和の演出」。

【エヴァ】丸出しのオマージュとキャラクター。

「人間味」と「現実味」、
「ウィット」と「縦割り社会」「思惑」が交錯する
「会話劇」。


そして
「課題」と「希望」の残された
【庵野】節が光るエンディングまで。



『シン・ゴジラ』がね、好きなんですよ僕は。


一方で本作は……。


滅茶苦茶、【山崎貴】味が強烈です。


不器用な主人公。

半額セールのファミリードラマ。

分かりやすい伏線。

ピンチ。増援。サヨナラ逆転。


いや、王道なのはコッチなの。

ハッキリとした「起承転結」と「英雄の帰還」。

みんなが大好きなヤツなの。


でも、ちゃうねんな。

薄いねんな。あざといねんな。



まずもって
日常パートや出撃前のミニエピソードを
疎かにしているのがよろしくない。


これじゃ
主人公である【神木】くんがただの
「サイコパスPTSDヘタレちゃん」じゃん。


「矜持」「愛国心」「家族への気持ち」


全部が中途半端で
「人(にん)」が見えてこない。


そりゃ実際は
そんな「流されて神風」な兵隊さんも
いたとは思うけど
「怪獣スペクタクル・ロマン」を背負うには
「それなりの器」が欲しいじゃない。


それに
『永遠の0』
『アルキメデスの大戦』では
「主人公のバックボーンや成長」に大舵をきれたけど
今回のメインはあくまで「ゴジラ」。

エピソードのウェイトはどうしたって
分散しちゃう。


あと
そもそもが年齢が合ってない疑惑ね。

だって
19~21歳の思春期マインドじゃない?【敷島】って。


「ブレザーが似合いすぎアラサー」なのは
キャピキャピしたハイテンションが由来なワケで
「寡黙で無愛想な一匹狼」じゃ
実年齢相応にしか見えません。


ここは
客寄せの知名度を捨ててでも
フレッシュな若手を起用した方が
深い没入感を得られた気がします。



そして、ストーリー……いや、演出かな。



ここからは若干のネタバレを含みます。
スミマセン。











予定調和がすぎるのです。


特に
「唐突な退場をするけど絶対に死んでないヒロイン」
「贖罪の気持ちで特攻を覚悟したパイロットに
脱出装置を説明する整備士」。



これ、ダメじゃない??


「銀座襲来」のインパクトは
『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』、
『M:I -7/デッドレコニング』の
「トレーラー/列車・ぶら下がり落下」で十分なのよ。


あんな、
「あからさまに秒で消失死亡」なんて
「ドッキリで~す!実は生きてました~!」で
しかありまへんがな!


バレてるぅ!観客みんな気付いてるぅ!


で、ラスト・クライマックス。

気持ちは分かる。

「仲間を助けられなかった恨み」はあっても
「むざむざ命を落とすような特攻に
手を貸すつもりはない」。

そうでしょう。
アタオカ軍国主義はもう終わったんだから。


でも、それを本人に告げたら
決死の覚悟に水を差すことにならんかな。

背水の陣で作戦の成功率をあげるべきやん。


そこは
こっそり爆破装置と脱出装置を連動させといて
「【典子】……今、そっちに俺も……!」
「行くぞ!スイッチオン!……!???」
「【橘】さん……アンタって人は……ありがとう……」で、フィニッシュせなやん!


「日曜劇場」して欲しいやん!



他にも
【野田博士】のリアクションが昭和すぎるとか
【安藤サクラ】の強い存在感と薄いポジションの
バランスが気になるとか……。


色々あったけど、この2つよ。


でもね……概ね大好評なところをみると
個人の好みの問題なのかな。



とりあえず
またまた生意気で申し訳なかったで
ございますね。