さすらいの旅人

零落のさすらいの旅人のレビュー・感想・評価

零落(2023年製作の映画)
3.6
★猫顔の女性を目の前にすると緊張してしまう
【VOD/WOWOWオンデマンド/配信視聴/ビスタサイズ】

何故か絶望感に襲われる映画だ。

主人公のマンガ家は長年連載したマンガが完結後、次回作のアイデアが全く浮かばずに落ち込んでいる。それが周囲の家族やアシスタントに影響を与え、私生活はバラハラになり最悪の状態になる。鑑賞後、このマンガ家には正直共感が湧かなかった。ワガママで自己中心的な態度が鼻につくからだ。読者に感動を与えること自体嫌っている状態では応援しようがない。学生時代好きだった猫目の女性に似た風俗嬢にのめり込んでいる姿は哀れだ。

本作のストーリは余り好きではないが、映画としての映像や雰囲気については出来が良かった。スタイリッシュな都会の映像や、風俗嬢の故郷でのロードムービーはハッとする美しい風景があり心癒された。途中途中で挿入される黒い海は主人公の心の闇を表現しているのか効果的であった。後、主演の斉藤工はさすが存在感があり好演技であった。それからショートカットの風俗嬢を演じた趣里は変わった役が得意で貴重な女優として再認識した。

本作はマンガ業界や出版業界に興味のある方は面白いかも入れない。