horahuki

ナイン・マンスのhorahukiのレビュー・感想・評価

ナイン・マンス(1976年製作の映画)
4.0
記録です。

ハンガリーの至宝(らしい)メーサーロシュマールタ監督の長編。これまた工場労働者。『ドントクライプリティガールズ』を反復しつつ、より大衆化させたような感じで面白かった。主従関係だったり支配-被支配の相剋を幾重にも重ねていく。趣味言及に基づく差異への配慮はなされず、脱ぐ・脱がないの非対称、今に留める・今に留まるの連関、見下ろす位置関係、そして知ることによる支配。そしてそのことに男性サイドは自覚がない。“レンガを積んでも崩れ去るから無意味”の言葉は本作に通底し、それへの抵抗が如何に茨の道かを、支配・解放を露骨に乗せた映像とその映し出される対象との相反を対比させることによって序盤のうちに見せつけられる。本心的には何を望んでいるかが都度都度の主人公の挙動から窺え、その本心的行動が彼女にとってのレンガ積みになるからこそ「抵抗」との間に軋轢が生まれ、それが妊婦から逃げるように去る行動等に現れていく。『ドントクライ…』から発展して虚飾の安堵安定を空っぽの家に押し込めつつ決別を図るが、どちらが苦難なのか…その答えは「経験者」たちの態度に乗せているんだろうと思う。

男性側のレイヤーについての言及も深めていた『ドントクライ…』に比べると本作は一極集中といった感じで、「経験者」たちの態度によって更なる深みを持たせて一極集中を後押ししているため描く対象の違いでしかないのだけれど、やり口は『ドントクライ…』の方が好き。というかリアル出産を正面から捉えた映像とか初めて見たかも😅いきなり無修正で局部映るからビックリした!一通り終わった後にモザイクが申し訳なさそうにチョロっと出てたけど、あれ意味ある?😂
horahuki

horahuki