ひゅうどんこ

To Leslie トゥ・レスリーのひゅうどんこのレビュー・感想・評価

To Leslie トゥ・レスリー(2022年製作の映画)
4.5
2021年制作 原題 :『To Leslei』


 吾輩はクズである、な物語。
酒をなみなみと注いだコップを片手に観た🥃。
だがそんな片手間に見るもんじゃなかった。
酒でしくじった女の話である。
有頂天からのドン底、からのそれから。
ネタバレだろ🫱とのツッコミを入れられそうだが、果てには確かで清い未来が見えた。


 降って湧いた幸運+依存症=碌な事にならない、の法則は、当事者には全く通用しない。
酒は飲む者を選ばない。
酒に飲まれる者は飲まれる時を選べない。

先日酒に飲まれた者に手を出された。
心寄せれ信頼もする相手だっただけにショックは大きくて、数日間仕事が手につかなかった。
その後音沙汰ないので、最近変わったことはなかったか怒りを抑えてじかに聞いてみたら、向こうは案の定何も憶えていなかった。
そんなもんだ。

、、どうでもいいそんな話はともかく、アルコールに関わらず、いったんはまった依存からの抜け出すのはかなり難しい。

溺れる者は藁をも掴む、藁に縋る、、でも溺れてるのが依存者なら、大抵すがってはいない。
藁だろうがぶっといワイヤーだろうが、お目当てのアレに変えるためにただ掴んでるだけ。
酒瓶を、銀の玉やメダルを、人によってはおクスリや宗教かもしれず、、、

藁を掴めるならば騙しに言い訳逆ギレ責任転嫁、、なんでもござれ。
本編でも色んな人が手を差し伸べてきたのに、その手を払い除けた主人公が掴んで手にしてきたものはいつも酒瓶だった。


 アンドレア・ライズボローという女優さんの酒浸りダメ母ちゃんっぷりは、我が身の鏡🪞かよと思えるほど見事で、多くの方が書かれてるような腹立たしく胸くそ悪くて、と感じるよりも、
あー次はこうやるなぁこんな嘘つくなぁそっち行っちゃだめだあ〜って分かり過ぎてハラハラしてた。
似たような道を辿ったことのある方がいれば、同じような見方になるんじゃないかな。


 自分も周囲も傷だらけになりながら、大切なものを取り戻す、、映画的にベタ過ぎて大した変化もなくて、見てて辛いわ腹立つわ。。

そんな小品でもいいんじゃない?
分かる人にも分からない人にも、何かが伝わった人には、ずっと残り続ける作品になるな🙂、、、なんてしょうもないこと考えながら、クズ側の私は、酒を継ぎ足したコップを暫し眺めることになるのだった🥃

クズっぽい人生を通らなかった方にも多分秀作。