開明獣

ソウルに帰るの開明獣のレビュー・感想・評価

ソウルに帰る(2022年製作の映画)
5.0
ノーベル文学賞受賞作家のカズオ・イシグロは、日系英国人で、ルーツを日本に持つとはいえ、本質は英国人だ🇬🇧しかし、彼が日本を題材にした小説を書き記してしまうのは、そのルーツにどこか心惹かれてしまうからに違いない🤔人は出自というものを取り分け気にする生物だ。

幼き頃にフランスに養子に出されたフレディ。「エルム街の悪夢」の主人公と同じく名前をつけられ、顔はゆりあんレトリバー似の主人公の魂の彷徨の物語😌

彼女は自分のルーツ探しに惹きつけられて韓国にやってくるも、自分のアイデンティティは腐乱酢🇫🇷にあるとして、韓国の文化・風習などを否定する。寝たければ誰とでも寝るし、築いてきた関係値をぶち壊すのも躊躇しない。ビジネスに対する倫理観も非常に低い。それは捨てられた自分への憐憫の情の裏返しなのか、どこにも見つからない自分のレーゾンデートルへの焦りなのか・・・😑

韓国人でもフランス人でもない。ダブルスタンダードすら持てず、帰属意識がどこにも持てない主人公は人間関係そのものに意味を見出せないのだろうか😔

どんなに探し物をしても、何年経っても何も見つからないどころか、失っていくものばかりなのかもしれない。自分の足場が崩れ落ちる感覚を覚えた時、人はどうするものなのだろうか?たとえルーツに辿り着いたとしても、それが幸せに繋がるとは必ずしも限りない。

主演女優の顔の表情で語る演技が素晴らしかった。
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