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梟ーフクロウーのkuuのレビュー・感想・評価

梟ーフクロウー(2022年製作の映画)
3.8
『梟 フクロウ』
原題 올빼미/The Owl
製作年 2022年。上映時間 118分。
劇場公開日 2024年2月9日。
映倫区分 G
17世紀・朝鮮王朝時代の記録物『仁祖実録』に記された“怪奇の死”にまつわる謎を題材に、盲目の目撃者が謎めいた死の真相を暴くため奔走する姿を予測不可能な展開で緊張感たっぷりに描き、韓国で大ヒットを記録したサスペンススリラー。
『毒戦 BELIEVER』のリュ・ジュンヨルが主人公ギョンスを演じ、『コンフィデンシャル』シリーズのユ・ヘジンが共演。

盲目の天才鍼医ギョンスは病の弟を救うため、誰にも言えない秘密を抱えながら宮廷で働いている。
ある夜、ギョンスは王の子の死を“目撃”してしまったことで、おぞましい真実に直面する事態に。
追われる身となった彼は、朝日が昇るまでという限られた時間のなか、謎を暴くため闇を駆けるが……。

先祖伝承や古代の伝説は、ここ数年、韓国発の多くの歴史ドラマの確かな主要軸として機能し続けてきたかな。
香港や中国の長編映画も同様、既知の歴史的背景に、ドラマ、武術、SF、そして、殺人ミステリーの融合が多くの物語を盛り上げ、その多くは韓国で商業的に大成功を収めたが、海外での人気はどうなんやろなぁ。
日本では一定のファンはおられるし、劇場上映や動画配信されてるんやろけど。
アン・テジンの監督デビュー作である今作品は、本国韓国で数々の賞を受賞したそうやけど、この長編の土台となっているのは、祖国を改革しようとしたが、その前に死んでしまった皇太子ソヒョン(昭顕世子)にまつわる謎である。
しかし、この物語の主人公は、腕のいい鍼灸師であるギョンス。
彼は、王室の医師であるイ・ヒョンイクにその才能を認められ、王の宮廷に召喚される。
ようやく家族、特に病気の弟を養うことができるようになった青年は、その機会を受け入れ、目が見えないにもかかわらず、すぐに王室内で名を上げるようになる。
8年間清朝の人質だった皇太子ソヒョンが戻ってくると、彼もまたギョンスの手腕に気づく。
二人は互いに一定の信頼関係を築いていたが、ソヒョンが父に西洋文化の適応を説得し、自分を新しい統治者として受け入れる前に、毒殺死体となって発見される。
ギョンスは真犯人を知っているため、それを王に知らせようとするが、真実は自らが容疑者になり、自分の秘密が暴かれることを意味する。
韓国で作られた歴史ドラマに慣れ親しんでいる人なら、きっと多くの要素を見つけることができると思う展開。
例えば、チェ・ジェフン監督の2020年の歴史ドラマアクション映画『剣客』のように、衣装からセットに至るまで細部まで細心の注意が払われていあ。
今作品は風雅なな映画であり、韓国史の特殊な時代における支配者の故郷の美しさを捉え、同時に、これから起ころうとしている変遷を浮き彫りにしている。
主人公の視点から、使用人や医師たちの権力システムを紹介し、その前に家族、特に王子と父親の力関係を認識する。
全体として、美学とテーマの組み合わせはよく実行されているが、そのようなアイデアに取り組むという点に関しては、何も新しいものをもたらしていない。
キャストに関しては、演技もかなりしっかりしていた。
リュ・ジュンヨルは『毒戦 BELIEVER』に続き、今回も好演を見せ、俳優としての多才ぶりを発揮している。
ほぼすべてのジャンルの作品、特にドラマに云えることやけど、今作品にはそれなりに緩急がありすぎて、ストーリーのいくつかの要素が少し間延びしているように感じられたんは否めないが、今作品は歴史ドラマと殺人ミステリーの堅実な融合でした。
今作品は、多くの点で無難に仕上がっており、同ジャンルの他の多くの映画とやや互換性がある作品でしたし、俄ながら韓国作品に親しんでる者として楽しめました。
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