Sachika

エリザベート 1878のSachikaのレビュー・感想・評価

エリザベート 1878(2022年製作の映画)
4.2
美しさの象徴・執念、それが老いへの恐怖と変わる、1878年 40歳の年。
人の視線が、生クリームが、夫の態度が、全て凶器となって刺さり、身体と心を締め付ける キツいコルセットが安全帯に見えた。
若さと美貌に縛られる彼女の決断、その夜明けの様な美しさがとても響いた。

「お飾りなんかじゃない」

中指を立て舌を出す、このパンキッシュなシシィは私の中のシシィのイメージとは違うけれど、それでも画面の中の美しくて・繊細で・惨めな彼女がすごく愛おしかった。
現代にも言えるルッキズムの苦悩と解放の作品ともいえるけど、本作を観て私は「若々しく・美しくあり続ける事」がいかに大切かを、同時に考える事が出来たなと。
我慢はしすぎなくてもいい、でも不格好にはなりたくない。

またシシィの奔放さはもちろん、ストイックさや頭の良さがわかるシーンが多くて、イメージ像が決してブレているわけではないとサラッと見せるシーンが豊富。
普段の筋トレ・美容・ダイエットはもちろん、語学力のすごさ…!。
わかるだけでもドイツ語・フランス語・英語・イタリア語と、あとハンガリー語かな?聞いてて忙しかった。

それから装いや美術の細部に至るまで、史実に併せて作りこまれていたのもとても良かった。
シェーンブルン宮殿等の建物は実際の物を使用したわけではなくセットって事よね?
それでも素敵だったし、もう10年以上も前の事だけどドイツ・オーストリア旅行した記憶が蘇って、胸がきゅっとした。

すでに観てる人は宝塚ファンの方が多いのかな?
シシィと違う!って声が多い様に見えるけど、私はこの描き方好きだな。
『スペンサー』とか好きだった人におすすめしたい。

シシィのすみれ色のドレスが素敵だったなあ。
あとデメルのケーキと菫の砂糖漬け食べたくなった。
Sachika

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