暴力と破滅の運び手

フェイブルマンズの暴力と破滅の運び手のレビュー・感想・評価

フェイブルマンズ(2022年製作の映画)
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秘密、という言葉をこの映画の存在が全部裏切っているのがよかった。
引っ越すたびに画面内スクリーンが増えていく自宅にはときおり宇宙戦争のアブダクションの光が差し込む。表現をする人の内面は見えず(泣きながら演技をする同級生も背中しか撮られることがないように)、家庭もどんどん崩壊する。「芸術とは水平線を真ん中に置かないことである」という帰結の恐ろしさ。
8mmフィルムの撮影・編集に対するフェティシズムがよかったし、親密度が上がるとマリファナを渡してくるクズも最高。