すべての出来事には意味がある…
学生時代…筒井康隆にハマっていた頃、こんなエッセイを読みました(うろ覚え)。
筒井氏はまだ小学生くらいの息子を連れて評判の映画を観に行った。
なかなか面白い映画だったが息子は帰り道、口がきけないほど感動していた。
映画のタイトルは「未知との遭遇」。
おれ自身は中学生の頃「ジョーズ」を映画館に観に行って口がきけなくなるくらいの衝撃を受けました。
世界中の子供達を口がきけないくらい感動させてきたスティーヴン・スピルバーグ…
その本人が幼少の頃両親に無理矢理連れて行かれた映画初体験で口がきけなくなるくらい衝撃を受けるシーンからこの「フェイブルマンズ」は始まります。
めちゃくちゃ面白かったです。
映画に取り憑かれ自分で作り始めるサミー少年…「リバティバランスを射った男」に触発されて作る西部劇でガンファイトのリアリティを出すためにあるアイデアを思いつくくだりなどスピルバーグの天才たる片鱗が垣間見えてもう最高です。
「プライベート・ライアン」の原点も見ることが出来てファンにはたまらない。
この映画は映画愛を描いた単純な映画讃歌ではありません。
スピルバーグと映画と家族の物語です。
「映画」というものの素晴らしさと恐ろしさ…「家族」というものの素晴らしさと呪いが描かれていきます。
それは善悪を超えてスピルバーグという人間がどのように形成されたかをおれたちに教えてくれるのです。
スピルバーグの映画を見る時に感じる素晴らしさと彼の持つ一種闇の部分の理由がわかる気がしました。
役者陣の素晴らしさ!
お父さんのポール・ダノは「ザ・バットマン」のリドラー!お母さんはヴェノムの彼女!セス・ローゲンは「宇宙人ポール」だぜ!
役者って本当にすごい!
役者ではないデヴィッド・リンチがあの巨匠を気持ちよさそうに演じていて度肝を抜かれました。
この映画はスピルバーグの映画との出会いからプロの監督として歩き始めるまでを描いていますが、観終わった途端に「刑事コロンボ」や「激突」そして冒頭に出した「ジョーズ」や「未知との遭遇」なんかをいかにして作ったかを描く「フェイブルマンズ2」が観たくて観たくて仕方がなくなりました(笑)。