クララ

時には昔の話を/森山周一郎 声優と呼ばれた俳優のクララのレビュー・感想・評価

4.8
プロの真髄を垣間見ることができるドキュメンタリー。
後世に遺したい一本でした。

まず、本人により語られる自分史が軸になっているのが面白い。
そして共に時代を彩る盟友(もちろん第一線にいるプロ)達から語られる森山氏の様々な一面。一人の俳優を多方面から深掘りしてこんなに面白いドキュメンタリーになるのか!と新鮮な感覚。これはテレビ黎明期を支え、舞台・映画・CM・吹き替え・アニメ・・・等々、常に各方面の一線で活躍し続けた森山氏だからこそなのか。

そして、後身を育てたいという思いを要所要所で感じる。
興味のあることのみをやっていてはダメ、というのはどの業界にいてもしばしば先達より言われる。作中で森山氏をはじめとしたプロ達が、昨今の声優ブームに一石を投じていることも、目の覚めるインタビューとなっている一因だと思う。
(さすがの声優陣のインタビューにはうっとり聴き入ってしまう。)
豊かで便利で調べればなんでもわかってしまう現代の乏しさみたいなものも感じ、あの頃のシンプルさとハングリーさがとても羨ましくなっていた。

見終わった後に、自分の今向き合っているものの是非を問う時間を設けたくなるし、多くの人に観てもらいたい作品です。

『紅の豚』のワンシーンが劇場で観れるという貴重さも添えて。
クララ

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