あやぽん

正欲のあやぽんのレビュー・感想・評価

正欲(2023年製作の映画)
4.9
「普通」という言葉があまり好きではなくて、できるだけ使わないように意識している 「普通は〇〇」などと言うと、自分の思考は正しいと断言しているようで違和感を感じる

自分の普通を押し付けて満足した上、想像力を働かせて人と接することができない人がたくさん出てきて、その場面に遭遇するたびに苦しくなった

映画の中にも出てきた犯罪のような絶対にやってはいけない、許されないことはあるけど、そういうことを除くと常識なんて人それぞれだよと思う

でも、大多数の人にとっての常識が意図してかたまたまか一致していて、自分はそれとは一致していないという経験をすることが私はとても多い

そんなとき、合わせなきゃだよなと行動したこともあるし、疎外感を感じてしまって距離を置き、なんとなくひとりになってしまったこともある

ひとりでいると誰かの普通を押し付けられることはないから、それで苦しくなることはない

でも、この気持ちを話せる人と理解してくれる人と繋がりたいって気持ちはどうしても出てきちゃう この映画にはその部分が描かれていて、すごくいいなと思った

それはワガママすぎるよ、傲慢すぎるよ、と感じる場面がいくつかあったけど、どこにそう感じるか(どこにも感じないか)は、自分がどういう思考で生きているかによるのかなと感じた

「いなくならないから」

この言葉の威力がすごくて、最後の最後にもう一度引き込まれた

そして、新垣結衣さんと磯村勇斗さんの目で作る表情がすごく印象的だった
あやぽん

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