本当に胸糞悪い事件だな。ある程度の脚色がなされていそうだが、それでもこれはほぼ史実通りだろう。とにかく、日本人とは昔から集団になると思考停止し、周りに煽動されやすいしバイアスがかかりやすくて、一度誤ると軌道修正できない体質だ。それは会社組織にいてもそう思う。大戦で反省したはずであるが、全共闘だってそうだし、コロナの時もそうだった。我々は何も学んでない、もしくは学んでも冷静さを失うと、本来の特性に立ち戻ってしまうのかもしれない。
この映画の感想でいうと、少し説教くさく、劇的で、左翼的な演出が多いように思えて、だから、こんな悲惨な事件があったんですよ、という単調なメッセージになってしまわないかと心配する。加害者がなぜそのような行動を取ったのかが冷静に表現されておらず、ただ加害者が野獣のように立ち振る舞っているのが、この映画の奥行きが浅いもののように思えてしまうのだ。つまり、我々日本人はどういう文化と思考特性を持っていて、それがどう悪さをしてこんなことが起きてしまうのか、を丁寧に表現することで、今後我々はどうあるべきかの示唆がもっとあったはずだ。加害者を徹底的に分析する方が日本文化の危うさをもっと表現できたはずだ。
これはただ過去にあった事件ではない。これからも起きうる事件だ、というメッセージが欲しかった。
