取り上げるテーマは真正面から捉えると、生きるか死ぬかといった二元論になってしまうところにレストランというバッファを置く事で省みるという時間を与えるプロット。
富士の樹海の様な山林の所有者がユーティリティをどうやって確保しているのかわからないコテージ風レストランを運営しているところのシェフと自殺願望のある女子高生との交流を描く。
主演の船ヶ山 哲さんは役者が本業でないからだと思うが、ボソボソ喋る演出であっても、もう少し聞き取り安く配慮して欲しかった。
自殺願望を持ったことはなかったが、私もCOVID-19 で突如失職してから半年後に近くの河の水温を無意識に調べていてハッとした事があった。
死ぬ事が現状置かれている状況から解放される唯一の手段である場合、生存権は本人にしかその放棄は決められない。
紗耶の場合、父親のDVに母親のネグレクトと家庭に身の置き場が無く、学校の教師もおそらく頼れなかった状況下で、一度自殺を図って生き残った後の描写は普通の快活な娘に持ち直していたのだから、正常な判断も可能だろうし、迎えに来た警察に訴え出ることもできただろうし、父親のいない間に母親との話し合いを持つことも出来ただろう。
自ら死ぬ事を止める事は出来ないが、少なくとも死ぬ以外の選択肢はいくらでもある事を知って欲しい。
そういうメッセージだと思う。