いかえもん

パリタクシーのいかえもんのレビュー・感想・評価

パリタクシー(2022年製作の映画)
4.2
よき映画だったなぁ…。

ぎりぎりの生活を続けていて、いつもイライラしているタクシー運転手のシャルルが、階段から落ちて足腰が弱くなって施設に入ることになった天涯孤独の92歳のおばあちゃんを施設まで乗せることになる。彼女の語る半生を聞きながら次第に打ち解けていく二人の楽しい1日を描いた物語。

このばあちゃん、最初からただものではないという雰囲気を漂わせているけど、その語られる半生がすごい。ネタバレになるので書けないけど、なかなか激しいものを胸に秘めたばあちゃんだなと思う。特に元旦那との件は、えー?!それすごい…ってなった。

いつまで生きるかわからんけど、死ぬ前に誰かとこんなふうに話ができて、楽しい時間を過ごせる一期一会があったらいいだろうなぁと思う。映画ではシャルルが主役だから、彼がおばあちゃんとの出会いによって考え方が変わっていく様子を通して、彼にとって素晴らしい出会いとして描かれているけれども、実はおばあちゃんにとっても、死期の近づいた自分が話をしてお互いに楽しい時を過ごせるような出会いがあったことはとても幸せなことだっただろうなって思う。心通わせられる出会いって長い時間かけて作られる場合もあるけれど、大体は短い時間でもわかる気がする。そんな出会いはまれだけれど、まれだからこそ大事にしたい。
そしてそんなよき出会いから、もうおしまいだと思っていた自分の人生が大きく好転することもあるわけで、どんな出会いも大事にしなくちゃいかんなと思った。