アテナのかのレビュー・感想・評価

行使する側の肩書き次第で“暴力”という行為に帯びる意味が変わってしまうことの理不尽さや、先入観に囚われてしまうことの危険性といったわかりやすいテーマが盛り込まれてはいるものの、社会派として捉えるには劇中で描かれるフランスの情勢が誇張されすぎているのが引っかかる。

暴動の渦中を移動して回る登場人物を、カメラの存在を視聴者に勘づかせることなくあれだけ繊細に追い続ける冒頭の長回しは本当に凄かった。難しいことをあれこれ考えずに臨場感に身を委ねるのが正解なのかもしれない。