このレビューはネタバレを含みます
凄い作品を観てしまいましたΣ੧(❛□❛✿)
先だって観た、「君は行き先を知らない」のパナー・パナヒ監督のお父さん、ジャファル・パナヒ監督作品。ベネチア国際映画祭で特別審査員賞を受賞。お父さん、すごいです。ほんとうにすごい。イランでは映画を撮ってはいけないし、国外にも行けない状況のパナヒ監督。それなのに作品を作り続け、発表し続け、しかも内容はイランの社会情勢を扱い続けています。すごい。すごいしか言えない。
イランの村に滞在し、ネットで助監督に指示を出しながらトルコでドキュメンタリーを撮影。自身はイランの滞在先の村で騒動に巻き込まれる。どちらもあるカップルの国外脱出に関すること。そしてわたしが知っているイランは(イランだけではないが)国外脱出に関する作品が多い。もちろん国内では上映されない。
どちらも行く末はつらい結末となった。やるせない。つらすぎる。などでは表現できないほど壮絶だ。
監督役はご本人が演じていて、とても自然体。風格さえある。監督の訴えたいことがジワジワとキリキリと入り込んでくる。
熊は、いない。田舎の村の風習によるもはや何の意味があるのだろうかという慣わしの数々。そこに監督は疑問を投げかける。村の人々には(若者の中にはもちろん歯向かうものもいる)響かない。トルコの都心部でも国外に行くためにはとてもお金がかかる。もちろん偽造パスポートを手に入れて、国外に逃亡だ。そして悲劇が起きた。
監督の置かれている立場から考えてもすごいが、とにかく完成度が高い。ヒステリックではなく、あくまでも冷静に表現されている。もちろん当事者たちは冷静ではない。
パナヒ監督作は初めて観ました。他の作品もとても観てみたいと思っています。手に入るかな。