ぶみ

Pearl パールのぶみのレビュー・感想・評価

Pearl パール(2022年製作の映画)
3.5
映画史上、もっとも無垢なシリアルキラー誕生。

タイ・ウェスト監督、ミア・ゴス主演によるホラーで、同監督による2022年作品『X エックス』の前日譚を描く続編。
1918年のテキサス州を舞台とし、『X エックス』で登場した老婆・パールがいかに誕生したかを描く。
前作は鑑賞済み。
主人公となるパールをゴス、彼女と出会う映写技師をデヴィッド・コレンスウェットが演じているほか、タンディ・ライト、マシュー・サンダーランド、エマ・ジェンキンス=プーロ、アリステア・シーウェル等が登場。
物語は、前述のように『X エックス』におけるパールが、怪物に変貌することとなるきっかけが描かれるのだが、1918年を舞台にしていることから、クレジットの出方やフォントも当時の雰囲気を再現しており、雰囲気抜群。
ただ、前作が、なかなかの18禁度合いや、スプラッター度を見せていたのに対し、本作品は、パール自身の変貌ぶりを中心に描いているため、ドギツイ描写はないとは言わないが、前作よりも少なく、趣を異にしている。
確かに、パールが置かれている環境は厳しいものであり、外の世界に逃げようとする思考はわからないでもないものであることから、いかにしてシリアルキラーが誕生したのか、納得させるには十分。
何より、そんなパールをゴスが水を得た魚のように演じているのが印象的であり、とりわけ、ラストカットに至っては、どこまでが演技で、どこまでが素なのかがわからず、その表情は、マイク・ニコルズ監督、ダスティン・ホフマン主演による『卒業』のラストシーンを思い出させてくれるもの。
前作のような、過激な内容を期待してしまうと、拍子抜けしてしまうものの、シリアルキラーが誕生する様を丁寧に描き出し、行動のみならず表情で恐怖を与えてくる一作。

自分の価値を試したい。
ぶみ

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