kuu

2つの人生が教えてくれることのkuuのレビュー・感想・評価

3.9
『2つの人生が教えてくれること』
原題 Look Both Ways.
映画の開発当初の原題は『Plus/Minus』だったそうだ。
製作年 2022年。上映時間 111分。
大学卒業を迎えた女性を主人公に、妊娠しているかそうでないかの両方の人生を並行して描いたラブコメディー。
妊娠して地元で暮らす主人公と、妊娠せずにロサンゼルスへ行く主人公を映し出す。
ヒロインをリリ・ラインハートが演じ、ダニー・ラミレス、デヴィッド・コレンスウェットなどが共演。
監督はワヌリ・カヒウが務める。

大学の卒業式の前夜、ナタリー(リリ・ラインハート)は妊娠検査薬を手に人生の分岐点に立っていた。
分岐点で人生が別れた一方のナンシーは妊娠し、地元に残る決意をする。
もう一方のナタリーは妊娠せず、ロサンゼルスへと向かう。
ナタリーはそれぞれの人生で、恋や仕事に奮闘する。。。

JFN系列29局ネットラジオ番組『AOR』パーソナリティーのユキ・ラインハートですAOR~ルゥ~(←ここ、舌を巻いてRを発音)。
て声は、癒される美しい声のラジオパーソナリティのラインハート。
今作品の主人公はメチャクチャ可愛らしいし癒されるリリ・ラインハートが贈る物語。
大学時代の友との一夜が、ナタリーの人生にどのような影響を与えるのかが描かれてます。
ナタリーの人生は、異なる視点で現実を連鎖させる2つの平行世界の物語を生きることになるし、視聴者は目撃することになる。
今年一番の作品と云わけやないが、ナタリーを演じたリリ・ラインハートのキュートでいて巧みな演技を堪能できました。
なかなかどうして面白いし、二つの平行世界を置けばストレートな映画であることは間違いない。
ラインハートの演技の優しさ、甘さと主に重要なとこを彼女なりに解釈してるとこは脱帽の域。
間違いなく、彼女は今作品の主役であり、巧みな方法で2つの異なる観点を提供して、必要な明るさをすべて引き継いでいるし、見ていて楽しいエンタメとして終わりました。
この監督は、彼女が持つ才能を発揮し、非常に良い方法で感情や気持ちを占める方法を知っている。
そのおかげで、魅惑的な演出を与えてくれました。
主人公のカリスマ性を監督は、そのリズムとカメラを構える時の目線で、魅了する方法を知っているかのようで、それは、好むと好まざるとにかかわらず、見ている側の糸を常に一定に保つことを可能にし、飽きさせなかった。
この物語は、たとえ考え方が変わるようなことがあっても、自分自身で決めた目標を克服し、目的意識を決して失わないちゅう明確なメッセージを持ち続けている。
そういう意味で、今作品は、自分の信念や本音を信じ続けるための明確なメッセージになっていると云える。
そのメッセージが、女性的な色合いを帯びて、より魅力的な作品に仕上がってると個人的には強く感じました。
ただ、今作品の目玉商品的仕掛けは、映画『スライディング・ドア』(1998年)でも、同じ仕掛けが使われている。
その映画では、電車に乗れた場合と、乗れなかった場合に起こるだろう二つのドラマを同時進行させて描く異色のラブ・ストーリーで並行するプロットの基になっていた。
つまり、今作品のオリジナリティをもろ手を上げ評価することはできない。 
せや、プロットの展開の巧みさと、リリ・ラインハートの見事な演技は個人的には絶賛できます。
ちと、ラインハート贔屓もはいってますが。
また、リリ・ラインハートは新進気鋭のスターであり、その理由は簡単に理解できる。

目標と目的について徒然に。

目標って良く使う言葉だけど、どういう意味なのか。
目的ちゅう最終的なゴールに向けて、その間に設定される小さな指標のことを指す。
要するに、『目的』というゴールがあり、それに到達するまでの過程に立てられるものが『目標』。
そのため目的は長期的なもの、目標は短期的なものに設定される。
この目的達成の自己啓発本は多岐に渡り本屋の一面を飾ってる。
この自己啓発系にはパターンが多々あり、大まかには、

この方法で成功しましたヒャツホー、
このテクを使えば成功出来まっせ系。

歴史的なド偉ぇ人はこないなことを云っとります。
或いはド・偉ぇ人はこう決断しよった系。

こないなポジティブ思考で目標を達成できた人も確かにいるかもしれない。
しかし、現実は厳しく過酷。
たしかに、Navy SEALs(アメリカ海軍の特殊部隊)の厳しい訓練に合格する人と、途中脱落する人の違いはポジティブな心の呟きがあるか否かちゅうことを海軍は調査してわかったのは、海軍の調査やと、グリッド(才能や生まれながら備わった能力ではなく、『やり抜く力』と定義されてる)を持った人びとが逆境に耐える際に行っている(ときに無意識に)いくつかのことが明らかになってる。
そのなかに、心理学的調査で何度も浮かびあがった一つの習性があった。
それは『ポジティブな心のつぶやき』やったそうな。
振り替えれば、小生もクソ逆境がしばしば訪れる際は、無意識にポジティブなモンを呟いてるし、頷けるかと。
では、常にポジティブでいればいいかというとそういうことでもないと思う。
ポジティブな思考はときに目標を遠ざけてしまうこともなきにしもあらず。
個人的には、欲しいものを夢に思い描くだけで、実現の可能性が高まるといった類の説に猜疑的です。
バラエティー番組『ホンマでっか!?TV』で、貴方は、減量後のスリムな水着姿を思い描いたりするだろうか。
みたいな見出しではじまったエピソードでは、ある実験で、そんな風にポジティブに思い描いた女性たちは、ネガティブなイメージを浮かべた女性たちに比べて、体重の減少分が10キロほど少なかったと云ってた(伝聞の伝聞やしホンマでっかで)。
この理論なら、完璧に理想通りの仕事に就くことを夢見ているんやったら、出願書類を出す数が自然と減り、その結果、内定をもらえる数も減ることになる。
今作品の主人公たちも、大学卒業前は夢見がち女子やったし、思い通りの未来が待ってたはず。
つまり、ポジティブ思考には有効に機能する場合と逆に弊害となる場合があるはず。
ポジティブ思考が目標達成に悪影響を及ぼすんやったら、目標を達成するのにどないすればええんかなぁ。
アメリカのどっかの心理学者、なんちゃら・ゴルヴィツァーと後一人は名前忘れましたが、二人の研究によれば、目標を達成するための行動をいつ、どこで、どのように取るかなど、ザックリ計画しているだけで、学生たちが目標を実現できる確率が四〇%上がったという。
二つのマジックワードは、
もしも(If)。
そのときは(Then)。
だそうだ。
予見できるどんな障害に対しても、
もしも◯◯が起きたら、△△をすることで対処しよう
なんて考えておくだけで、結果は違ってくる。
これは災害訓練を確りしてた方エエって理論かな。
実際、はあらかじめ計画をしておくこと、それも、もしものことを考えて計画をたてておくことは結構大事で、回りの知り合いは小生のことを悪運が強いから生きてこれたんやと揶揄するが、小生的には、ビビりやし、もしも(If)そのときは(Then)を妄想に近いシュミレーションをよくしてるのも、社会に生きのび、破産もせず、金銭面では誰の迷惑もかけてへんのは要因の一つやと思てます。
これをより実践しやすい形にまとめたものがWOOPと呼ばれてて、 WOOPてのは、
願い(Wish)
成果(Outcome)
障害(Obstacle)
計画(Plan)
の頭文字をとったもので、仕事、人間関係、ダイエットなどあらゆる目標に対して適用できる。
せや、このWOOPはあまりにも現実可能性がないものには効かない。
例えば、総合格闘家の僕が一年あまりで、ボクシングの神と呼ばれてるメイウェザーを、ボクシングルールで倒す。
例えが格闘技コアファンしかわからないなぁ。
野球素人の僕がメジャーリーガーの投手が投げたボールを打つみたいな感じかな。
たしかに、何か目標がある場合、まずこのWOOPを考えてみることが目標を達成させる近道かもしれないが。
でも、なによりも
自分を知ること
調整すること
が大切なんかな。
今作品はそこを巧く取り入れてるし個人的には嵌まったかな。
成功てのは、一つだけの特性の成果やない。
それは、
自分はどんな人間か
どんな人間を目指したいか
の二つを加味しつつ、そのバランスを調整することやと思てる。
自己啓発本で云われていることや世の成功法則というものには必ず良い面と悪い面があり、決して間違ったモンばかりではないが、成功の法則はきっとアチラコチラにおちてんのかなぁと。
その意味では、善き映画作品にはそのヒントは沢山散りばめられてるのかなぁと。
一生懸命生きてる人たちに栄光あれ。
kuu

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