ベビーパウダー山崎

Clerks III(原題)のベビーパウダー山崎のレビュー・感想・評価

Clerks III(原題)(2022年製作の映画)
4.0
安い肉とスナック菓子にまみれダラダラ映画を見続けると早死する。他人の映画を見ていちゃもんつけているだけのろくでもない人生。心臓病のくだりはケヴィン・スミスの実体験だと思うが、死に引き寄せられている鬱的なダンテの言動もケヴィン・スミスの心情っぽい。
とにかくボンクラが年を取ると、身体はガタが来るのに精神は幼いままで、今まで生きてきた証のような大切にするべきものが何一つないことに気がついてしまい愕然としてどうしようもなくなる。それでも笑いあえる友人がいて、その空っぽな日常を楽しめる日々があったと「映画」にして表現するケヴィン・スミス。死ぬ間際に映画館で見るあのころの自分。映画館ってのがズルい、泣ける。一足先に天国から寄り道してくるロザリオ・ドーソンがまた良くて更に泣いた。馬鹿騒ぎしている時間はすでに過去で、友の死と死ぬまで続くどん詰りの生活。寂しいよな、分かるよ。笑いと鬱と死、なんとなく『ボージャック・ホースマン』に近い匂いもあった。『クラークス』『クラークス2』は当然としてケヴィン・スミスのゴミみたいな作品も一通り見ている人にしか勧められないが俺は堪らなく泣いた。