チェリストを目指して音大を出るも夢を諦めて実家に戻った女性で、妹の結婚と妊娠もあって30歳になっても独身であることを母親から心配される蘇畑佳純。子供の頃から恋愛感情がなく性的な欲求を抱いたこともない彼女が、恋愛を強要する世間の風潮にうんざりしながら家族や友人、職場の同僚との交流を重ねる様を描いた恋愛ドラマです。
男子高校生同士の恋愛を描いたドラマがヒットして映画版の監督を今泉力哉が務めた『his』の脚本のアサダアツシが企画の物語を劇団を主宰する玉田真也の監督で映画化した『(NOT) HEROINE MOVIES』作品で、『ドライブ・マイ・カー』での好演も記憶に新しい主演の三浦透子を前田敦子や伊藤万理華、北村匠海らのキャストで盛り立てます。
恋愛の多様化進む現代に「恋愛しない」無神論を描きますが、コント的演技と作品の演出に乖離があって思惑が分り辛い所があります。そもそも愛とは主義や主張を越えた感情の発露なので終始ピントずれを感じましたが、その溜飲を下げた『宇宙戦争』にかけて結論を示唆する、遂に芽生えた否定したはずの感情からの逃走は見事な一作です。
