大規模な戦争を経て反乱抑止を目的にした12地区の少年少女の殺し合い「ハンガー・ゲーム」を始めて10回を迎えた独裁国家パネム。戦争で没落した貴族スノー家の長男でアカデミーで優秀な成績を残すコリオラヌスが、自身がメンターとなる12区代表の少女ルーシー・グレイとの出会いを経て数奇な運命を歩む様を描くディストピア映画です。
スター女優ジェニファー・ローレンスの出世作となったスーザン・コリンズのYA小説を原作とする大ヒット映画シリーズの続編で、子役上がりのトム・ブライスと『ウエスト・サイド・ストーリー』レイチェル・ゼグラーを抜擢しての後の独裁者コリオラヌス・スノーを主人公とする前日譚を勝手知ったるフランシス・ローレンスが演出します。
前シリーズでも主題と物語をリンクさせれずジェニファーにおんぶにだっこでしたが、独裁者台頭を描くでは若者を食い物にする「リアリティショー」を皮肉る本作唯一の軸からも離れてもはや誰向けなのか分からない映画に。混迷を極める物語にあって真面目顔を貫いたブライスとカリスマ性を見せたゼグラーの踏み台がせいぜいな一作です。
