千年女優

エゴイストの千年女優のレビュー・感想・評価

エゴイスト(2023年製作の映画)
2.5
田舎では仕草を理由にした虐めや母の死を体験する鬱屈とした少年期を送り、現在は東京でファッション誌編集を務めながら同性愛者をカミングアウトして溌剌と暮らす斉藤浩輔。ゲイ仲間からパーソナルトレーナーで母子家庭を支える中村龍太を紹介された彼が、かつての自分を重ねように中村親子との親交を育む様を描いたドラマ映画です。

ファンの目線からフィギアスケートを語った『羽生結弦は助走をしない』で知られるエッセイストで2020年に亡くなった高山真が「浅田マコト」名義で出版した自伝的小説を、『トイレのピエタ』の松永大司が映画化した作品で、自身も同性愛者のミヤタ廉が監修を務める鈴木亮平と宮沢氷魚の恋愛模様が話題となって観客から好評を得ました。

同性愛はあくまでもフックに亡者への鎮魂歌を詠うものの死の浄化のために別の死を二度も利用するのは語り口としては不格好で、それを「エゴ」と呼ぶのも言い訳めいています。飲み込み辛さの結果としてクローズアップされる同性愛が必然性ない「客寄せ」に感じられるのは痛恨ですが、それでも主演二人の絡みには覚悟を感じる一作です。
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