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ファルコン・レイクのKotaのレビュー・感想・評価

ファルコン・レイク(2022年製作の映画)
4.2
“溺れることが、恐い?”

短編映画“ジュディット・ホテル”で評価された気鋭の女性監督シャルロット・ル・ボンの初長編作品。一夏の湖畔の田舎町でのボーイ・ミーツ・ガールと、ラストも含めたアンニュイでスピリチュアルな世界観、青春の中に潜むホラーの雰囲気。

16mmフィルムで撮られていることで見えないところは見えないまま。分からないことは分からないまま。感情や恐怖心をありのままに映す、きっとそれは大人になって言語化して片付けてしまったことなのだろう。監督自身も“君の名前で僕を呼んで”に大きく影響を受けていると語るほど映画全体のトーンは似ているけれど、自分はイエジー・スコリモフスキ監督の“早春”を観た後の感情に近いかなと思った。

大抜擢された主演のジョゼフ・アンジェルとサラ・モンプチは見た目も演技力も一級品。この歳であれだけ表情で語れているのは凄いし、実年齢とほぼ同じだからこそ、奇跡のような瞬間を真空パックに包んだようで、この作品が残っていくこと自体が嬉しい。きっとこの先も忘れない作品になる。
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