このレビューはネタバレを含みます
《MIRRORLIAR FILMS(ミラーライアーフィルムズ)》シーズン4より。
水川あさみさん監督作品。
水川さんの夫でもある窪田正孝さんが主演、池谷のぶえさん出演、キムラ緑子さんが声で出演。
【あらすじ】
仕事もせず、家に引きこもる男が1人。
家事も掃除もせず、ろくな食事もしていない様子で、部屋はどんどん荒れていく。
大家さんが家賃の支払いを要求するも、どこかうわの空の生返事。
母親からの電話も、聞いているのか聞いていないのか。
それでも、台所の観葉植物に水を与える事だけは忘れない。
それは、今はいないパートナーとの約束の「水やり」だからだ。
不意に溢れる涙。
そこに訪れる「変化」(MIRRORLIAR FILMS全編共通のテーマとされているもの)とは何かを、見守る作品。
【感想など】
照明が、心情をうまく表現している様で、とてもよかった。
セリフがほとんどなく、動きも少ないので、表情で語る演技は流石だった。
また、生の象徴の様な植物が、死すら連想しかねないあの暗い部屋の中で枯れずにいる事が、暗くよどんだ辛い心情を描き続ける映像に、ひと握りの希望を感じさせてくれる。
ラスト、モノローグでの「一件落着チャンチャン♪」的な演出は、個人的には不要。
言霊と言う言葉もあるが、言葉にするなら誰でも出来るとも言える。
十分に立ち直ったと感じさせる描写があるので、蛇足の様にも思える。
脳内再生の、今は居ないパートナーの声は、水川あさみさんなのだろうか。エンドクレジットを見逃してしまったのか、確認が出来なかったので不明。
立ち直るきっかけは、人によって様々。
変化は、不意にやって来る。
ある研究で、辛い経験をした時に、「とことんまで落ち込むか」「平気なふりをするか」で、数ヶ月後の心の健康に違いがあると報告された事があるらしい。
とことんまで落ち込んだ方が、平気なふりをするよりも、実際の立ち直りが早かったり、数ヶ月後の心の状態が健康で居られると言われている。
つい平気なふりをしてしまうと、ふとした瞬間に思い出しては辛いを繰り返してしまい、結局立ち直れないと言う事もある様だ。
そう考えると、彼がこの後ちゃんと立ち直ってくれると信じたい。