【満面の笑み】
誇りってなんだろう。
今の日本人に誇りはあるのか？
胸を張って自分は自分だ！！！！！！！！！！！！！！！！って言えるのだろうか？
窪塚演じる杉原は在日であるがゆえに自分という存在は何なのか常に苦悩していた。
その苦悩は暴力に昇華されていく。
そんな彼の台詞のひとつひとつがグサリと突き刺さる。
そして一人の女の子との出会いが彼の生き方を変える。
これはそんな一つの恋愛物語。
そういえば中学の時、在日の韓国人が同級生にいた。
その子は日本名もあったようだけど韓国名を名乗っていた。
僕は特に気にすることなく韓国人なんだなという認識しかなかった。
1年生の時の彼女は遊び時間に男子に笑いながらドロップキックをするような女の子だった。男子相手に取っ組み合いの喧嘩もしていたこともある。
2年生の時の彼女は恋する女の子だった。
「◯◯先輩かっこよすぎ♥♥♥♥♥」
ひとつ上の先輩に抑えきれない気持ちを顔を真赤にしながら笑顔で教えてくれた。
3年生で男勝りの性格でショートカットでバレー部のキャプテンだった彼女は満面の笑みで答えた。
「私は自分に誇りをもっているから日本名は使わないんだ」
高校1年の時に彼女とたまたま道端であった。
「おお！まぴ元気？◯◯ちゃんによろしく言っといて♪」
相変わらずの満面の笑み。
それ以来、彼女とは会っていない。
彼女もまたあの笑顔の裏にはこの主人公の杉原と同じように「在日」であることに葛藤や苦悩があったんだろうか？
この作品を観て何年かぶりに彼女の面影がふと蘇った。
あれから何年もたったけど彼女は今も満面の笑みで幸せにすごしているのだろうか。
いや...たぶんそれは杞憂だと思う。
それほど彼女の笑顔は輝いていたんだ。
509本目
