ヒノモト

オルガの翼のヒノモトのレビュー・感想・評価

オルガの翼(2021年製作の映画)
3.4
2013〜14年にかけて起きたウクライナで起きた市民運動「ユーロマイダン革命」の最中、選手権出場を目指す体操選手の15歳のオルガの物語。

フィクションではありますが、体操選手役は競技経験者が演じており、練習から競技まで本人が実技を行っており、その本物の迫力は凄まじいものがありました。
映画の前半では、失敗を繰り返すシーンがあって、あえて失敗して平行棒をつかめず落下するのも経験者だからできるものだと思いました。

ただ、選手間同士のトラブルがあると、全員髪の毛をお団子に結んでいて、誰が誰だか分からなくなる混乱は結構あって、キャラクターは出し切れていない印象が残りました。

物語全体として、ある程度の予備知識が無いと、なぜ母親は狙われているのかとか、ユーロマイダン革命というそのものなど、多少なりともウクライナの当時の実情を片隅に入れておいて、やっと物語の理解につながるので、何もわからないまま観ると、面白さは半減してしまうと思います。

それでも、主人公のオルガが故郷を離れて、スイスの代表として進んでいく道に起きる障害と祖国で進行する革命の断片的な情報、残された友人との絆などの要素が相まって、物語自体は引き込まれる部分は多いですが、私自身そこまで知識を持って映画を観た訳ではないので、若干物語の後半の盛り上がりに、体感的について行けないところは残りました。

国外の観客が観るという前提になっていないところはあり、少し未整理な部分はありますが、スポーツ選手が演じている部分を差し引けば、それなりに見応えはある作品だったと思いました。
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