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FALL/フォールのkuuのレビュー・感想・評価

FALL/フォール(2022年製作の映画)
3.6
『FALL/フォール』
原題 Fall.
映倫区分 G
製作年 2022年。上映時間 107分。
地上600メートルのテレビ塔を舞台にしたスリラー。
イギリス・アメリカ合作。
使われていないテレビ塔の頂上まで登ったもののはしごの崩落で取り残された女性たちが、決死のサバイバルを繰り広げる。
監督は『ファイナル・スコア』などのスコット・マン。
『シャザム!』などのグレイス・フルトン、『スターフィッシュ』などのヴァージニア・ガードナーのほか、ジェフリー・ディーン・モーガン、メイソン・グッディングらが出演する。

ベッキーは、夫のダンをフリークライミング中の落下事故で亡くし、その悲しみを引きずったまま1年が経とうとしていた。そんな中、親友のハンターから、現在は使われていない地上600メートルのテレビ塔でのクライミングを持ちかけられる。
ベッキーはハンターと共に老朽化した梯子を登ってテレビ塔の頂上に到達し、そこからダンの遺灰をまく。
新たな一歩を踏み出そうと決意するが、はしごが崩落して頂上に取り残される。

俳優のグレース・キャロライン・カリーとヴァージニア・ガードナーは映画を引っ張るスター性はないものの、クライミングへの情熱を共有する2人の親友を予想以上に好演していた。
スコット・マンとジョナサン・フランクの脚本が、最初から二人の友情を確立していることも手伝って、最後で二人が成功するかどうかが気になる映画となってた。
しかし、今作品の真骨頂は、目もくらむようなスリラーを成功させたことにあるかな。
信じられないが、今作品の予算はわずか300万ドル(とのこと)。
それでも、わざわざ作られたテレビ塔(KXTV/KOVRタワー、別名サクラメント合弁タワーがモデルだと言われている)とCGI効果の組み合わせは、十分に説得力があるように見えた。
また、マン監督のダイナミックなカメラワークとマクレガー監督の撮影技術も功を奏し、後者はロケ地のモハベ砂漠の絶景を見事に捉えている。
マン監督は、スリルとサスペンスを最大限に引き出すカメラの動きや配置のコツをつかんでいる。テレビ塔の上からスニーカーを落として自由落下するシーンなど、独創的なショットも忘れてはならないかな。
興味深いことに、当初、『フォール』はサバイバルを描いたストレートなスリラー作品だと思っていました。
しかし、映画が進むにつれて、マン監督とジョナサン・フランクは、予想外の展開や、予想外だったというひねりを織り交ぜながら、物語を進めてた。
全体として、今作品はチェックする価値のあるスリラーでしたし、このようなワンロケーションの映画としては107分と少し長すぎる。
もうちょっとタイトなペースで、90分に短縮すれば、スイートスポットになったかもしれないか
なあくまでも個人的見解やし、ここは意見はわかれるとは思うが。
いくつかのシーンは信じられなくなりがちだが、この種の映画では予想されることであり、少なくともマン監督はそれを過度に、頻繁に押し付けることはない。
また、今作品には、登場人物の冒涜的な台詞がデジタル処理で変更されたように感じられるシーンが多い(なんでもマン監督は、PG-13の格付けを得るために、AI技術『トゥルーシンク』を使って台詞Fワードを変更させたことが判明してる)。
まあ、パッチワークのような強引な音にならないのはいいんやけど、近い将来、オリジナルのディレクターズカット(ノーカット台詞のこと)が見られるようになればいいかなぁ。
面白い作品でした。
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