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ザ・メニューのMoviePANDAのレビュー・感想・評価

ザ・メニュー(2022年製作の映画)
3.8
『 王様のレストラン🍴』

“私は先輩のギャルソンにお客様は王様であると教えられました。しかし、先輩は言いました。王様の中には首をはねられたヤツも大勢いると...”

ある日、お使いのシェーバーを持ったお客様がお越しになりました。「お宅で買ったが使い勝手が気に食わない、違う商品の新品に交換しろ!」との事。店のお得意様でしたが、まずは丁重にお断りを。何故なら、原則として返品交換は領収書をお持ちである事、そして未使用である事が条件となるからです。もちろん買ってすぐの初期不良である場合はこれにあてはまりません。しかしこのお客様のシェーバーは随分とお使いになった状態。要はいちゃもんの部類と判断出来る案件でした。

前述の条件をお伝えし、改めてお断り。しかし、納得せず引き下がらないお客様。言葉で詰める様な態度。手こそ出してこないものの明らかに威圧的。このままでは危険と判断し、その状況を見ていた店長が警察を呼ぶ。ほどなくして警察官が到着。その警察官が話を聞く。そして、一言...

「お宅さぁ、店はねぇ... お客様を選べるんだよ!」


“極上のスリルに満ちた、
驚愕のフルコース・サスペンス!”
近年、こういった今までに聞いたことのないジャンルネーミング映画が多い気がしますが、なるほどこれはまぁそうなるかといったお話。個人的には「ミッドサマー」を想起しました。一見すると訳分からん展開でありながら、実は店と客双方からの視点をメタファーとしてまぶした、まさにスパイスの効いた一品でした。

名声を得、上に行けば行く程見失う“もの”。一方客の方は、味わう事よりも“そこに行く事”が目的に。絶対服従な従業員もある意味では、その場所に取り憑かれた者達として描かれる。その点、しがみつこうとするエルサと皮肉たっぷりに描かれるタイラーも象徴的。単なる特権階級風刺に終わらず、とにかく腹が空いたら食べたいもん食べればいいじゃんともとれるメッセージも素敵でした!🍔

それにしてもアニャ・テイラー=ジョイの魅力が炸裂してますね!客代表として一歩も引かず、そのレストランの王様とやり合う姿に惚れました。また、レイフ・ファインズの謎と気品に満ちたカリスマシェフっぷりは怖かった... 最後まで本当に目が離せない展開、映画って面白い!

追伸:前職の時の話。前述の警察官の方の決めゼリフには胸がすく想いでした!その時、心の中では「半沢直樹みたいだ!」と思ってしまいましたからねw まぁそんな風に思う事があっても、実際お客様にこの言葉はなかなかかけられないですから!
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