この映画を見ないひとは幸せだ。現実にあるんだろうこのとんでもない悲劇に向きあわずに済むんだから。…なんて感想をまずいだいてしまった。
「沖縄では中学生からキャバ嬢ってのは普通だよ」…沖縄・コザのキャバクラでのこの会話から始まる。アオイは17歳。キャバクラで働きながら子供を育てる。夫は真面目に働かず、ときにアオイが稼いだ金を奪う。暴力もふるう。あるとき店が摘発を受け、以降は働くことができなくなる。生活は一気に苦しくなるも、父母の支援はなく、夫の実家で暮らすことに。そこに夫が暴力事件をおこし、示談金の支払いのため、生活はさらに困窮する…
夜のコザの街を歩いたこともあるが、こういった世界が広がっていたんだろうかと…
『東京難民』しかり、昨年の『夜明けまでバス停』しかり、とめどなく堕ちていくひとを描いた映画はこれまでもあったが、どれもドラマとして見ていた。でもこの映画は、ドラマであるはずなのに、どうもドキュメンタリーのように見えて。だから、とにかく痛々しくて。
沖縄の、しかもコザという場所を舞台にしたことがとりわけそう感じさせたんだろうけれど。
そしてこの貧困スパイラルをどう脱したらいいのかと、「マジで」考え込んでしまった。
途中、沖縄県知事の「誰ひとり取り残さない」との発言の映像が入る。これはもちろん自分自身も含めてだが、社会は猛省しないといけないなと。気やすく「SDGs」なんて言葉を使っていることに対して。こういう問題の解決策すら示せないのにと。
まぁとにかく、心に深く残る映画であったことに間違いはない。