オレオレ

Vengeance(原題)のオレオレのレビュー・感想・評価

Vengeance(原題)(2022年製作の映画)
3.0
これはアメリカでの「テキサス州」の立ち位置というか、概念というか、テキサス民以外がもつステレオタイプをわかっているほうが楽しめると思わん?a hundred percent! (←見たらわかります)

アメリカ版「オフィス」でおなじみのB.J.ノバクが監督、脚本、主演で「アメリカの分断」を語る!というか「語ろうとするスノッブ」のベンを自虐気味に演じている(B.J.ノバク自身が、東海岸育ちハーバード卒、ニューヨーカー誌に寄稿歴あり)。

NYCに住んで物書きをしているベンが、顔も名前も思い出せないワンナイトスタンドのお相手だったアビーの兄から、アビーの死を知らせる電話を受けるところから始まる。成り行きで、アビーの故郷のテキサスに行くことになるベンだが、アビーの兄が「アビーの死はただの薬物死ではない」と言い出し、アビーの死の謎を自分のボッドキャストにして売ることに決める。

この、テキサス一家の描写がステレオタイプ。子供に都市の名前を付ける(Parisとかならまだしも、カンザスシティってどうよ・・・)、アメフト狂、大人から子供までが銃保持者、みんながカントリーソングやロデオ好き、などなど・・・。
一方で、ベンのような両海岸エリート(東西海岸に住む高学歴高所得ユダヤ系など白人)と呼ばれる人間のこともおちょくった設定で、みんながみんなポッドキャストなどSNSで発信者である(になりたい)、自称「ライター」、フックアップカルチャー、リベラル狂信者転じて赤い党を見下げている・・・。

この文化的分断や政治的分断に、アビーの死の真相まで入れ込んであるので、2時間にするにはちょっと詰め込み過ぎかな、というキライも。
とはいえ、最後30分は想像の斜め上をいく展開だったので、それなりに面白かったけれど。

結局のところ、政治信条や文化的相違にかかわらず、個人レベルでは分かり合えることも、好もうと好まざろうと、同じ価値観(記録することへの取りつかれや名声への欲など)を共有していることも分かりかけるベン。そんな彼は、「ポッドキャスト界での金脈」とされる「白人女性の死」についてのレコーディングを・・・

ところで、アシュトン・カッチャーを久しぶりに見たけれど、意外に良かったなあ。彼の、なんか空っぽな感じとキャラが合ってた。あんな刺しゅう入り白ジャケット着こなせるのは彼しかいないでしょう!