シネラー

攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG Individual Elevenのシネラーのレビュー・感想・評価

4.0
前作から引き続き、
「攻殻機動隊 S.A.C.」の第2シリーズを
纏めた総集編OVAを再鑑賞。
硬派で魅力的な政治劇をそのままに、
前作からより総集編として洗練された
印象もあって良かった。

「攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG」の全26話
で主軸となる"個別の11人事件"を
纏めあげた総集編であり、
"笑い男事件"から2年経過して
再建した公安9課が内閣情報庁の暗躍と
"個別の11人"と名乗る
テログループの事件を追う内容となっており、
前作よりも政治劇の増した駆け引きに加え、
現在でも戦争が報じられる故に
難民問題や革命運動といった
テーマ性は心情的に刺さるものがあった。
"個別の11人"で主要人物となる
クゼだが、そのクゼと素子の関係性が
後半から濃厚に描かれている為か、
TVシリーズを普通に視聴するよりも
二人の関係性が感慨深く感じられた。
そんな中で本作においても
終盤でのタチコマ達の場面はTVシリーズ
同様に感動してしまうが、
並列化されたAIが個を持って
「手のひらを太陽に」を歌う場面は
やはり本作で最も印象深い場面だった。

しかしながら、
電脳化が進む世界観で
高度な政治劇となる主となるだけに、
単純なSFアニメとしては難易度が
前作以上に高いとは思った。
又、公安9課を率いる
荒巻課長の兄・荒巻洋輔にや
荒巻課長の鞄持ちでバイオロイドの
プロトといった登場人物に関しては、
本作だけでは唐突に感じられるところだった。

事件自体のミステリー度合いとしては
前作の"笑い男事件"の方が好みだが、
政治劇からくるキャラクターの駆け引き
としては本作の方が好きな2作目だった。
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