けいすぃー

ファンタスティック・プラネットのけいすぃーのレビュー・感想・評価

4.1
ずっと気になっていたのが期間限定でアマプラに登場していたので鑑賞。
まず音楽が素晴らしい。心象風景を鮮やかに表し、作画と相まって独特の世界観を作っている。絵のタッチや枚数の少なさから、今の感覚だと時折りシュールコメディに感じてしまう部分があったが、50年前の公開当時の人々はどう感じていたのだろう。

ある時代、ある惑星では巨人であるドラーグ族が人間を虫のように扱い、飼い慣らし、駆除しようとしている。人間よりはるかに強い知的生命体の存在が、地球における人間とその他の生物との関係性を浮き彫りにする。
ドラーグ族も人間もフランス語を話してはいるが、お互いが言語でコミュニケーションを取っている様子はなく、意思の疎通は簡単には測れない点も面白い。人間には高等人種と野生人種とがいて、さらに集落間での争いも絶えない。そして物語の結末としても結局暴力と抑止力に頼るところに、人間社会の風刺が詰まっている。また、ドラーグ族同士は親子や夫婦であっても常にvouvoyer(敬語)を使っているのに対し、ドラーグ族は人間にtutoyer (タメ口)を使っているのもポイントだろう。

世界観の構築や風刺は効いていたが、そこからの爆発力を今ひとつ欠いていた。
けいすぃー

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