銀色のファクシミリ

ゴールデンカムイの銀色のファクシミリのレビュー・感想・評価

ゴールデンカムイ(2024年製作の映画)
4.2
『#ゴールデンカムイ』(2024/日)
劇場にて。原作既読。 大好評の原作漫画とアニメ版と比しても恥じることのない、導入部としてはほぼ100点の実写化作品。再現度の高いキャスト陣と、熱い冒険譚とアイヌ文化の深い造詣に、独特のギャグセンスが混じり合った作品の空気もそのまま。ただただお見事!

感想。明治時代の末期、北海道で噂される莫大な埋蔵金の存在。ありかは脱獄した死刑囚たちに彫られた入れ墨でしか分からない。様々な人物が絡む争奪戦に、元兵士「不死身の杉元」とアイヌの少女アシリパの二人も巻き込まれていく。一級の冒険小説なみの熱いストーリーが、この作品の最大の魅力。

キャストは、漫画かアニメを見ている人なら紹介テロップが不要なくらいの再現度。正直なところ、彼らが実写の世界で動いているのを観るのだけでも楽しい。アイヌ文化の解説部分もちゃんと描かれていて、チチタプとヒンナとオソマも。というかオソマが裏主人公みたくなっている。

主人公「不死身の杉元」役は長瀬智也が昔から推されていたし、自分は山田裕貴を推していた。しかし山﨑賢人も文句なし。杉元佐市という純朴な青年が、戦場で「不死身の杉元」に成らねば生き残れなかったという悲しみと、不死身の生命力は、不屈の魂と生きるのを諦めない必死さにあるのがちゃんと伝わってくる。

そしてキャストMVPは矢本悠馬演じる、脱獄王・白石。その抜け目なさ、敵か味方か判らない危うさもあるけれど、なぜか許せるダメさ加減と愛嬌。実写化でシリアスさが増して不愉快さも増してしまうかと思っていたけど、〇〇〇に坊主頭をバックリいかれちゃうところは最高に笑えた。原作の空気を実写化でも損なわないくらいコメディさ。この調整具合、やっぱり良い役者さんだ。

この作品でどこまで物語が進んだかを触れるわけにはいかなけいけど、導入部としては文句なし。早く続編が観たい。待ちきれない人は完結している漫画を読むもよし、アニメを観るもよしです。どちらも滅茶苦茶面白いから。感想オシマイ。