コーディー

トリとロキタのコーディーのレビュー・感想・評価

トリとロキタ(2022年製作の映画)
4.1
誰にも手を差し伸べられず堕ちていく二人。ビザを取得し真っ当な仕事に就きたくとも、そこに至るまでにどれだけ汚れれば良いのか…
不法滞在の弱みにつけ込む大人に囚われ続ける擬似姉弟、そんな闇の中で無邪気に輝く絆だけが鮮烈に焼き付く。
もはや慰めもない剥き出しの告発、凄い!

入国管理局に認めらたトリと認められないロキタ。審査のため関係を捏造しながらも互いを頼り寄り添う姿は紛れもなく本物の姉弟。懸命に生きようとしても不法滞在や運び屋といった括りに縛られ、ただ側にいたい願いさえ叶わない。
そんな誰も気に留めない心を見つめるダルデンヌ兄弟の怒りに満ちてた。

訳もわからぬまま、けれど確実に悪化していく状況が緊張感とともに映し出される。声が聞きたい、届けたい、会いたい、など無垢な感情が溢れる程に抗いようのない闇も追いかけてくる。
淡々と描きながら不安や恐怖を体験させるダルデンヌ節は過去作に比べても闇が深い印象だったけど、やっぱり絶品!