ミサホ

不知火檢校のミサホのレビュー・感想・評価

不知火檢校(1960年製作の映画)
4.0
ちょっとばかし、異色の作品を観てみました。先日、勝新太郎監督のドラマ『警視-K』を堪能したので、今度は役者・勝新太郎を時代劇で観たいなと思ったわけです。


檢校(けんぎょう)とは、お寺などに仕える盲人の最高位の役職のことらしい。何やら難しいけれど、とにかく、室町時代や江戸時代においては位が非常に高かったのだ!

勝新太郎が演じる全盲の不知火檢校は、地位を利用して、狡猾で悪の限りを尽くす人物だ。この作品では、“七之助”と呼ばれる幼少期から、“杉の市”と呼ばれ、檢校に昇り詰めるまでを描く。

幼少期から悪だくみの知恵は抜群だ。

そんな盲目の悪人を描くといった、現代であれば、少々怯むであろうことを思い切ってやってしまうところが面白い。忖度なしだ。

江戸時代も現代も、権力層の構図だったり、人間の欲望だったりは変わらない。モノクロの時代劇だが、目が離せなかった。

勝新太郎の、今度は『座頭市』も観てみたい。全盲の人物を演じても不自然さは感じなかった。勝新って演技も上手いのかな〜。

そして、借金と引き換えに杉の市に手篭めにされてしまう浪江を演じた中村玉緒の美しさと妖艶さったらなかった。

不思議な魅力に溢れた作品だった。
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