ベビーパウダー山崎

若き詩人の心の傷跡のベビーパウダー山崎のレビュー・感想・評価

若き詩人の心の傷跡(2016年製作の映画)
3.5
閉じた画面のなかで肉体の自由を失った青年が何処からか借りてきたような言葉を空虚に響かせている。あっけない死に至るまでの、のらりくらりとした道筋。ラドゥ・ジュデもイキった若者に焦点合わせて青臭い物語を撮ったりするのか、どれだけ優れた作り手も年がら年中尖った表現で暮らしてはいけない。電車内で終わるのが良い、到着を目指す電車の行末はたいてい暗い。それはとても映画的。病におかされ死ぬ者と助かる者。俺も先日病気して入院していたので、ぼんやり見ながらああ死にたくねえなあと。入院中に自慰したりセックス出来るのは文学的でブルジョワ。俺は不安と鬱を抱えた凡人なのでそれどころじゃなかった。市川準『病院で死ぬということ』との二本立てがベスト。