はならび

サムシング・イン・ザ・ダートのはならびのレビュー・感想・評価

4.6
些細な超常現象をきっかけに、承認欲求なのか妄執なのか自作自演も行いながら陰謀論に進む男と、粗野な形と語られる生い立ちから幸福ではなさそうな男の、友情のような利害関係のようななんともいえない関係性が結ばれていく

最初は対等な立場かと思われたものの、知能や金銭によって徐々に上下の差がでてきて、不和が起こる その関係の変遷や、お互いの心情を吐露するシーン、眼差しの揺らぎなど、綺麗なだけではない彼らの行動に逆に荒々しいながらも光る原石を感じた

超常現象と偶然が絶妙なタイミングで起こり、これは何か大きな意味のあるメッセージかもしれないと確信を抱いていく(半ば思い込み)流れが絶妙で、この作品はどこへ向かうのだろうと期待していくと、思わぬ展開に呆然としつつも、荒唐無稽さの中に漂う哀愁のある結末が余韻になってずっと残ってる
善悪、真偽、現実と虚構、そういった二項対立や真実を提示しないことが超常現象をテーマにしたこの作品の中ではとてもよかっと思う
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