例えばですね、気のいい船頭さんに声掛けられて乗った小船が、いきなり行き先と逆方向に進み出したと言うか、安手のお・も・て・な・しは高くつくと言うか、これはホスピタリティー・ホラーと名付けたい新種のデンジャラスムービー
最近観た映画だと「インフィニティ・プール」の泥沼ハマりまくりの構図に近いです
あれくらい超絶した世界観ならまだしも、こちらは徹底して近所のおじさんおばさんテイストのリアルな感触が不気味で、ジワジワと神経を逆撫でし続けます…
【胸騒ぎ】
イタリアのトスカーナにバカンスに来たデンマーク人の両親(モルテン・ブリアン、スィセル・スィーム・コク)と娘(リーヴァ・フォシュベリ)の3人家族が、愛想のいいオランダ人の夫婦(フェジャ・ファン・フェット、カリーナ・スムルダース)に誘われるまま家に着いて行き、どエライことになって行く話…
《2組の夫婦》
デンマーク人夫婦は、人付き合いは明らかに下手で、引っ込み思案に見える
時折腹が立つくらい、言われるがまま、なすがままシステム人間
特に夫は意識緩めで、どこか無抵抗主義なところがあり、会話もこなれていない面白味の無い人物、妻は夫よりもはっきりとした物言いをするが、誰にでもやさしいタイプの人物では無い
対するオランダ人夫婦は、陽気で善人に見えるが、他人に配慮しないがさつな行動が鼻につく
人を説得する時は連携プレーを見せて、時々目つきが気色悪い
彼らと口のきけない子供が棲む家の、不衛生にも見える生活空間は薄気味悪いし、シャワーもトイレも洗面所も、プライベートが守られていない
こんな人物たちがねっとりともつれる様が描かれます。
やーな感じですよね、やーな感じなんです
《北欧産の胸糞スリラーの傑作》
胸糞の傑作って、誉めているのか貶しているのか自分でもわかりませんが、この作品を観て、ミヒャエル・ハネケの「ファニー・ゲーム」を思い浮かべた人もおそらく多いのでは?
「ファニー・ゲーム」は、二度と観たくない史上最低の胸糞映画ですが、この「胸騒ぎ」は胸糞指数は軽く1000ヘクトパスカルを超えている
いたって順調な胸糞映画、
正に胸糞界の健康優良児!
唯一の見どころは、北欧産の陰鬱ホラーの容赦の無さと不快なまでのスリラーセンスの高さ、これは規定外の領域に達しているので、無防備な観客側の衝撃は大きい
シャーリー・ジャクソンの有名小説を想起させる終幕の狂気は、ごく当たり前に執り行われるセレモニーのように淡々としている
こういった見せ方が一番怖い…
知らない人について行っちゃダメだよって、
正しい教えなんだと今さらながらに思いました
《パンフレット》
※小型化が進んでいるパンフレットが
多分最近では一番デカいタブロイド版でした
こんなとこまで胸糞サイズ!
で、形状も夕刊スタイル
こんなん持ち帰ってどこに仕舞うんだ?
と買った後で後悔 買ったんかい