ベビーパウダー山崎

レイジング・ケイン ディレクターズ・カット版のベビーパウダー山崎のレビュー・感想・評価

3.5
ディレクターズカット版も最高。通常版との大きな変更は前半のつかみだと思うが、そもそもお話自体、進むべき道が分からなくなるほど蛇行し続ける展開なので、多重人格者の夫の視点で始まろうが、妻の心の揺さぶりから始まろうが、まあどちらでも構わないという感じだった。中盤の警察署内の長回しが異様すぎて、なんでこんな無駄なことをやっているんだろうと改めて感心してしまった。終盤、同時多発的にクライマックスを迎えて、それがピタゴラスイッチ的な連鎖を起こし、そのすべてをスロー映像で見せつける、こんな狂った「映画」はデ・パルマにしか撮れないし他の誰も追随しない。デ・パルマはヒッチコックと比較されて云々言われたが、デ・パルマを真似できる作家はいない。大好き。デ・パルマと長い付き合いのジョン・リスコーでなんとかもう一本、キチガイサスペンスを頼む。