どど丼

すべては大丈夫のどど丼のレビュー・感想・評価

すべては大丈夫(2022年製作の映画)
4.0
今年の東京フィルメックスのクロージング作品は、ベルリン銀熊案件。動物たちが人間を全体主義体制によって支配するディストピア世界を、木彫りの人形と実際の記録映像を用いて描く怪作。ド直球な風刺映画で、かなりドギツイ映像も。

映像・イメージを通して統一的なイデオロギーを大衆に植え付けたり、革命心を持つ人々が現れるのはオーウェル「1984」を彷彿とさせるが、本作はヒトラーやスターリンら過去の独裁者から家畜を嬲り殺す映像まで実際のアーカイブを引用している以上、かなり現実に即した作品である事がよく分かる。コロナ禍のロックダウンやトランプの存在が制作の契機にあるというのはとても納得。

動物たちを模した人形をあれだけシリアスに、それでいてアーティスティックに映し出す手法と力量に驚く。なかなかの衝撃映像だったが、非常に意欲的な映画芸術を観た。
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