田舎に住む農家の老夫婦の貸部屋でポルノ映画を撮影するスタッフたち。しかし、その老夫婦には裏の顔があった——。
A24が送るシリーズ3部作の第１作。
エロとグロを織り交ぜたスリラー映画。
ポルノ映画の撮影シーンを描いた序盤から阿鼻叫喚の恐怖体験を描いた中盤以降までの振れ幅がすごい。
舞台や作風は異なるものの、『ホステル』を連想させるエロからグロへの大転換だった。
そして何より、登場人物が濃い。
人の家でポルノ映画の撮影を行う主人公たちにも共感しにくいが、部屋を貸した老夫婦もなかなか強烈。
特に、老婆の乙女心には降参。確かに押し寄せる年波には勝てないものの、こうも現実を受け入れられない人がいるとは……。
深く考察してみると、実はよくできた構成。
中でも、登場する若い女性たちと老婆の対比が解りやすい。
若い女性たちは惜しげもなく美しい裸体を披露するのに対し、老婆は見えないカメラアングルやモザイク処理を施している。若い女性を珠玉のように描くことで、老婆の心中や動機を察することができた。
ちなみに、若い女性の１人と老婆が同一人物（ミア・ゴス）というから驚き。
年齢の異なる二役を一人の女優に担わせるところに、若い女性と老婆の根っこが同じであるという、制作サイドのメッセージ性が読み取れる。
性描写とゴア描写があることから万人受けはしないが、強烈なインパクトを残してくれる作品だった。
