A24が制作する初の三部作シリーズの第1弾。2023年の7月に公開される前日譚”Pearl パール”の後日譚にあたり、70年代,80年代を彷彿とさせるオマージュの効いた、レトロ感溢れるお洒落ホラー。同時期公開のブラック・フォンが物語,構成共々良かったため、ハードルが高まったイメージはあるが、低予算かつ高クオリティな演出は流石。主演は、ミア・ゴス。話題のジェナ・オルテガも出演している。
[あらすじ]
1979年、テキサス。6人の男女が、それぞれの思惑を胸にポルノ映画”農場の娘たち”を撮影するため、老夫婦が暮らす農場へ訪れる。しかし、彼らに撮影場所を提供した老父は何処か様子がおかしく……。
[レビュー]
・70年代の世界観、雰囲気を見事に作り出している。冒頭部分から、映画を観ているなという気分にさせてくれる演出で、悪魔のいけにえを初めとする様々なオマージュが作品に味を添える。音楽やテロップなどもノスタルジーを感じ、ファッションやメイクもどことなく当時を漂わせる。だが、沢山の要素を採り入れすぎたが故に、面白さのボルテージは一定を超えなかったと個人的には思う。ドリングバーで色々な飲み物全部混ぜた感じだった。
・そんな作品のテーマは、性欲への焦がれと、老夫婦の嫉妬である。ホラーと言っても人間怖い系ホラーで、老夫婦(特に老女)の若さを求め続ける姿は、気持ち悪いが気持ち悪いと思っていいのか、という心の中の葛藤がある意味怖さを助長させていた。最終的にラストシーンへ繋がるあのシーンは、愛溢れると同時に気持ち悪くて吐きそうになった。
一方で主人公一行は、本物のポルノ映画か！というくらいのシーンが盛りだくさん。もはやお色気シーンですら老夫婦との緩急を感じてしまい途中からキツくなる場面もしばしば。ラストも、意外にも一人一人に制裁が加えられ飽きなかった。
・ミア・ゴスの演技は恥ずかしながら初見だったが良かった。特殊メイクで老女も演じていたというのを見た時はびっくり。前日譚とされる”Pearl パール”も楽しみである。ジェナ・オルテガも可愛かった。というか、A24の勢い凄い。SCREEN4月号も増刊としてA24特集組まれてたし。一強時代来るかも？
👉緻密かつ繊細な最近のホラー映画も良いが、こういった爽快感のあるぶっ飛んだホラーもたまに観ると中々良いもの。次回上映される前日譚を観てからもう一度観直すとまた感想が変わったりするのだろうか。そこもまた楽しみの一つである。頭を空っぽに、何も考えずに観たい人にはオススメ。
