たつなみ

X エックスのたつなみのネタバレレビュー・内容・結末

X エックス(2022年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

冒頭からの『悪魔のいけにえ』を思わせる入り方といい、川のワニといい、相当なトビー・フーバーへのリスペクトを感じさせる。
テキサスの強烈な暑さと湿気の中で、ポルノ映画で一発当てて成り上がってやろうとする主人公たちを診ていると、「フーバーもこんな感じで撮影に臨んでいたのかなぁ」と想像してしまう。
(まぁエロいねーちゃんはいなかったと思うが)

アメリカ南部系ホラーの典型的な描写を描きながら、実はその裏をかいてくる展開はなかなか工夫が感じられる。
キリスト教原理主義者のアジ演説を使ってあの老夫婦の異常さを煽りながら、実は…っていうオチは面白い。
A24ってアリ・アスターの作品しか観たこと無かったけど、コレも同じ様に「最悪のハッピーエンド」って感じの後味。
そして、殺人鬼側のじーちゃんばーちゃんにもの凄く味があって、哀愁を感じてしまった。

この殺人鬼ジジババもこの人たちなりに一生懸命生きている。
それでも襲ってくる『老い』という、どうにもならないモノに必死で抗おうとしている。
初見ではキッツいあのシーンも、そう思うと切ない行為に思えてくる。
(一回観れば十分だけど)

それにしても恐怖と笑いって本当に裏表だなぁと感じる。
「ブリーフ一丁で外に出たら危ないよ!」と思ったら案の定…とか、ばーちゃんが銃ぶっ放したら腰痛めるとか、絶妙なタイミングでかましてくる。

ハラハラさせられるし、お約束を裏切る展開も面白くて良質なホラーだと思うが、私の苦手な「突然ビックリさせてくる」シーンが時々入ってくるからちょっと減点…。

もしかしてだけど、この監督相当「悪魔のいけにえ」が好きで、あの一家のヨボヨボのじーちゃん(グランパ)からこの老夫婦を思い付いたのかな?