Haruki

ララミー・プロジェクトのHarukiのレビュー・感想・評価

ララミー・プロジェクト(2002年製作の映画)
4.1
アメリカ・ワイオミング州の小さな町ララミーで、ゲイの青年が激しい暴行の末に殺害された実際の事件をドキュメンタリー形式で描いた作品。

200名近くのインタビューを基に書かれた戯曲を原作とし、小さな町に潜む差別と憎悪、それによって引き起こされた悲劇を生々しく描く。

住民はそれぞれ複雑でどっちつかずな感情を抱えている。
自分の住む町で起こったと信じたくない者、
今までの差別や憎悪に気づく者、
同性愛を罪と声高に訴える者、
ゲイだから世間の反応が好意的だと邪視する者。

それぞれの人生や町の歴史、コミュニティでの暮らしを理解しなければ、この事件を正確に理解することはできない。

ただ一つ言えることは、同性愛への差別と嫌悪感によって一人の青年の命が惨たらしく奪われたということである。

そしてその根底には、コミュニティ全体、町全体、ひいては国全体において、歴史と価値観が複雑に絡み合い、個人レベルをはるかに超越した憎悪の構図がある。

ひとつひとつのインタビューから様々な角度の本音が語られ、悪者を特定できない闇の深さを感じられる。
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